第17章

病床の上で藤原美佳が涙ながらに訴えていた。

「裕樹お兄ちゃん、私、何も覚えていないの。きっと樋口浅子が偽の証拠を仕組んだのよ!」藤原美佳は相澤裕樹の手を掴み、すがるような目で見上げた。

相澤裕樹は冷たい目をして傍らに立っていた。

藤原美佳が本当に記憶を失ったのかどうか分からなかったが、この件に関しては確かに樋口浅子を誤解していた。

ちょうど裕樹の身分で樋口浅子を訪ねようとしたとき、警察がすでに一足先に訪れていた。

「藤原美佳さん、あなたが故意に樋口浅子さんを傷つけた証拠は明白です。被害者の樋口浅子さんの意向では、直ちに立件捜査を進めたいとのことです。今すぐ同行願います」

藤原美佳...

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